Thematic Map of the Blank, State 1
2023
Relief printing, silkscreen on paper
A set of four sheets, Each: 760×1120mm / Print Making: Satomi TANAKA
Photo: Kensuke Hashimoto
《Thematic Map of the Blank》では、これまでの菅の幾つかの作品の中でモチーフとなってきた「地図」を題材としている。菅は本作の制作にあたって、ルイス・キャロルの小説『スナーク狩り』を参照している。
同作は、「スナーク(the snark)」と呼ばれる、架空の生物を探し求める探索隊の物語であり、その中には白紙の海図を手に航路に出るという示唆的な逸話が登場する。白紙の海路は、一般的に考えられる地図としての機能を果たさない矛盾に満ちた存在である一方で、その空白の表面は現実の海とその表象の界面それ自体を指し示しているとも言える。現実と表象の対照性の間に横たわる白紙の地図というテーゼは、長年にわたって菅を惹きつけてきた。
本作では、白の凸版印刷によって枠取られた長方形の空白の外側に、「LATITUDE(緯度)」「EQUATOR(赤道)」「SOUTH POLE(南極)」「MERIDIAN(子午線)」「ZENITH(天頂)」といった、座標を表す10の用語が各辺に沿って並べられて印字されている。それらの文字情報は、各シートごとに配列と位置が異なっており、その意味や指示性は無効化されているかのように解釈される。
主題としてのヴォイドとメディウム・スタディの延長線の中で、空白のナラティブの可能性を問い続けてきた菅によるキャロルのリプレゼンテーションである。
Installation view of Thematic Map of the Blank, State 1
2023
Cage Gallery, Tokyo / Photo: Kazuo Yoshida
OCEAN-CHART. (Illustrator: Henry Holiday)
Carroll, Lewis. 1876. The Hunting of the Snark. United Kingdom: Macmillan Publishers
Photo: Ryohei Kan
A Perfect and Absolute Blank Map (From “The Hunting of the Snark” by Lewis Carroll)
2022
18.0×24.0cm (Image size), 23.0cm×30.0cm (sheet size)
Etching / Print making: Satomi Tanaka