K 15-30D(2021-2022)

 

 

 

K 15-30D #2

2022
3909×1904mm
Fluororesin paint on Canvas
Installation view of Hiroshima Prefectural Art Museum / Photo: Kensuke Hashimoto

 

2020年から2021年に行われた第5回目となる原爆ドームの保存工事において、天蓋部分のオリジナル鋼材の補修に用いる塗料の選定に際し、被曝当時の色彩を再現する試みが初めて行われた。2014年に、広島市公文書で保管されている被爆直後に原爆ドームを撮影した複数枚の写真を基にして、被爆当時の鋼材の色彩の推定が行われた。デジタライズされた写真の該当箇所のRGBを割り出し、その数値から錆色をマンセル値 5YR3/2とし、史跡原爆ドーム保存技術指導委員会によって実際に使用する塗料「K 15-30D」が選定された。

本作は、実際に保存工事で使用された塗料を用いた絵画作品である。最新のデジタル解析技術によって画像の解釈を行い緻密にその色彩が同定されているが、被爆直後に焼き尽くされ剥き出しになって錆び果てた鉄はどのような色だったのか、それは誰にも分かりえない。菅は、絵画を通して鑑賞者に色彩そのものと向き合うことのできる状況を提示し、歴史を遡って当時の出来事に想像を巡らせる契機となるような場を創出している。

2023年に広島県立美術館で開催された縮景園連携企画「記憶の庭」では、、平山郁夫《広島生変図》(1979年 / 広島県立美術館蔵)と《K 15-30D》を対面させる形で並置して展示した。当事者である平山そして非当事者である菅の、それぞれ異なる視点から両者が着眼した「ヒロシマの業火」の表象を照応させる試みが行われた。

 

 

K 15-30D, Paint

2021
Φ112×H131mm
Can, Fluororesin paint
Photo: Ryohei Kan

 

K 15-30D / Color Chart

2021
2.2×4.8cm
Japan Standard Paint Colors, 2021 Version K
Photo: Kensuke Hashimoto

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Installation view of K 15-30D

2022
Hiroshima Art Center / Photo: Kensuke Hashimoto

 

 

Press Release “K 15 30-D”  >Google Document

Floor map for the exhibition of “K 15 30-D”  >PDF

 

 

 

Installation view of K 15-30D

2022
Hiroshima City University Art Museum / Photo: Kensuke Hashimoto